ペインクリニックの中身?

2012-01-05

ペインクリニック科は診療科目となって未だ日が浅く、どんなことをしているのか知らない方が多くおられると思います。

 東葛地区(概ね常磐線鉛線)にも10以上の施設がペインクリニック科を標榜し診療を行っています。それら施設でなされている診療内容は同一ではありません。おそらく 3種類に大別されるものと考えます。

 第一のスタイルは 「痛みを中心とする心療内科」形態です。透視下神経ブロックは行わず、神経ブロックを行うとしても局所注射もしくはトリガーポイントブロックが主で、患者様の話をきき、薬物治療、先生によっては行動療法を行うような施設です。

 第二のスタイルは「臨床麻酔を特化して痛みを扱う」形態です。透視機器は備えず、硬膜外ブロック、星状神経節ブロックが主で、中規模以下の病院麻酔科外来部門ではこのスタイルで診療を行っていることが多いようです。

 第三のスタイルは比較的高額なX線透視機器、高周波熱凝固装置などの神経処理機器を備え、末梢神経だけでなく脊髄神経、脳神経を対象とした神経ブロック、更には椎間板処理まで行うような形態です。開業に至るまでの技術取得、開業時の高額投資、開業後の診療リスクを抱えるため、ペインクリニックらしく思われがちですが、実際の施設数は多くありません。当院はこの第三のスタイルで開業しております。

 この3種類の診療形態のどれが正しいというわけではないでしょう。どの診療形態も施設数が不十分で、質、量の充実が求められていると感じます。

 この8月、ある会社のペインフォーラムに招待され、外来を担当する数人の先生に会って話をすることができました。ある著名な先生は片側上肢に障害が在るにも拘らず、患者様の話を聞き、薬物治療を行い、神経ブロックを行わずに多くの患者様の支持を受けておられます。

 米国シアトルで活躍後、日本で開業された別の先生は、トリガーポイントブロックを患者様とのコミュニケーションツールとして用い、多くの患者様が来院されておられます。

 彼ら二人の成功は、「痛みの治療において、神経ブロックは重要な治療手段であっても、必須のものではなく、「患者様の心の満足」が最も重要であることを示しているのではないのでしょうか。

 人間はいつか死ななければなりません。受けた治療に「納得、 満足できる」ことこそが、単純な「治癒」より大事なことと考えるのは間違いでしょうか?

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