帯状疱疹後神経痛とは?

2012-05-02

帯状疱疹後神経痛とは?
 

殆どの方が水疱瘡(水痘)を経験されておられます。水疱瘡が治った後も帯状疱疹ウイルスは身体から消えることなく、脊髄後根神経節や三叉神経節に潜んでいます。何十年も経った後に、高齢、担癌、HIV等の理由で免疫能低下に陥ると、帯状疱疹ウイルスは神経に沿って活動を始め、支配髄節の皮膚に発疹が生じる。これが帯状疱疹です。

帯状疱疹は水泡となり、その水泡が潰れ痛みを生じます。この痛みは打撲、骨折で生じる痛みと同じ種類の痛みで体性痛(侵害受容性疼痛)と呼ばれます。消炎鎮痛剤が効き、通常、2週間程で治まります。発疹も3週間程で黒色痂皮形成を経て、「帯状疱疹は治った」となります。
 

 ところが帯状疱疹治癒後も「焼けるような」、「刺されるような」、あるいは「ビリビリとした」と表現する痛みが生じる、若しくは残ることがあります。この痛みは消炎鎮痛剤が殆ど鎮痛に無効で帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。帯状疱疹後神経痛は神経因性疼痛と呼ばれる痛みの一つです。帯状疱疹後神経痛はしばしば耐え難い痛みで、難治のことが珍しくなく、多くの患者様が苦しまれています。
 

 皮疹治癒後の慢性痛を帯状疱疹後神経痛とする定義もありますが、その様に言い切れるのでしょうか。発症後2週間程で水疱自壊後黒色痂皮形成中に帯状疱疹後神経痛に移行し、アロデイニアを呈し、来院された患者さんがいらっしゃるからです。
 

*アロディニアとは「通常では痛みを起こさない刺激により誘発される疼痛」(世界疼痛学会)のことです。「風が当たっても痛い」、「下着が触れただけでも激痛が生じる」との訴えがあればアロディニアを疑います。

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